2026年9月10日
【ストーリーボード編】Admicreaのストーリーボード ― 作品の全体を、一枚の板で組む
脚本を書いていて、いちばん見失いやすいのは「いま自分が作品のどこにいるか」です。シーンは書ける。けれど、そのシーンが全体のどこに置かれていて、前後で何が起きていて、裏で誰が動いているのか。頭の中だけで持ち続けるのは、話数が増えるほど難しくなります。
Admicreaのストーリーボードは、そのための板です。作品の全体を一枚に広げて、カードを動かしながら構成を組む。この記事では、ストーリーボードと、その隣にあるプロットボードを紹介します。
作品の全体を、一枚の板に
ストーリーボードを開くと、エピソードが行として並び、それぞれの行にシーンのカードが置かれています。エピソードは、アニメなら話数、映画なら幕にあたる物語のひとまとまり。シーンは柱ひとつぶんの場面で、脚本を組み立てる最小の単位です。
カードには柱(「◯ 昼・町の裏通り」)と概要が書かれていて、画像を付けていればそれが背景になります。左下にはシーン番号。行の先頭にはエピソードのカードがあって、その話の概要が読めます。
つまりこの画面は、作品の地図です。第1話に何があって、第2話がどう続き、いまどこまで書けているか。スクロールひとつで、全部が視界に入ります。
カードの「i」を押すと、そのシーンの詳しい情報が開きます。所属するエピソード、概要、そして登場キャラクター。誰がその場面にいるのかを、板の上で確かめられます。
並べ替えは、ドラッグで
構成を組み替えるのは、カードをつまんで動かすだけです。
同じエピソードの中で順番を入れ替える。前の話に移す。次の話に送る。シーンをエピソードの間で動かしても、本文も、登場人物も、あとで説明するプロットも、そのまま付いてきます。カードの中身はシーンそのものなので、動かして壊れるものがありません。
まだ置き場所が決まっていないシーンは、板の下にある「未割り当てシーン」に置いておけます。「このシーンは要るけど、どこに入れるかはまだ分からない」という状態を、そのまま持てる場所です。エピソードから外して未割り当てに戻すことも、逆に未割り当てから拾ってくることもできます。
動かした結果は、すぐには確定しません。画面の上に「未保存の変更があります 3件」と出て、保存ボタンを押した時点で書き込まれます。試しに並べ替えてみて、やっぱり戻す、が気軽にできます。
見たい粒度で、見る
板は、見たい細かさに切り替えられます。
- 標準:柱、概要、画像。1枚ずつ確かめるとき
- 1/2:カードを半分の高さに。1話ぶんを一画面で見たいとき
- 柱のみ:柱だけを並べる。全話の流れを一望したいとき
文字の大きさも小・中・大から選べます。画像を消して文字だけにすることもできます。概要を読み込みたいときは、画像を消したほうが速い。
もうひとつ、登場人物で見る見方があります。「シーン登場キャラ表示」を「全キャラクター表示」にすると、カードの概要の代わりに、その場面に登場する人物のチップが並びます。誰がどの場面にいるかを、板の上で一望できます。
そこから人物をひとり選ぶと、その人物が出ているカードだけが浮かび上がり、出ていないカードは薄くなります。「この人物、第3話から第6話まで一度も出てこない」といったことが、板を見るだけで分かります。
板の隣で、脚本を通し読み
ストーリーボードには、脚本を読むための引き出しが付いています。「脚本通し読み」を開くと、画面の右に作品全体の本文が、エピソード順・シーン順に流れます。ト書き、話し手の名前、セリフ。編集画面に移動せずに、頭から読み通せます。
読みながらスクロールすると、いま読んでいるシーンのカードが、板の上で光ります。本文と構成を、同じ画面で往復できる。「この場面、思っていたより前にあったんだ」という発見は、この画面で起きます。
ここでも登場人物で絞り込めます。人物を選ぶと、そのセリフだけが強調され、他は薄くなる。一人の人物のセリフだけを頭から追いかけて、口調がぶれていないかを確かめる。そういう読み方ができます。
裏で動いている筋を、プロットボードに
本編に書かれていることの裏で、必ず何かが動いています。主人公が町を歩いている間に、敵は何をしているか。第1話で仕込んだ小道具は、いつ回収されるか。
これを管理するのがプロットボードです。
行はシーン。作品の全シーンが、話順に上から並びます。列はプロット、つまり並行して進む筋です。「メインの筋」「敵の動き」「恋愛」「ある小道具の行方」。筋の名前と色は自由に決められます。
表のマスに、その筋のその時点の出来事を書き込みます。同じ内容が続く区間は、ひとつのバーとして縦に伸びます。第1話で始まって第10話で終わる筋も、一本のバーです。列を上から下へ読めば、その筋だけを追えます。
伏線にはタグを付けます。仕込みの側にも回収の側にも、同じ名前のタグ(「剣の伏線」など)を付けておく。同じタグは同じ色で表示され、上部の凡例からタグをクリックすると、該当するプロットだけが強調されます。回収先がまだ無いタグは、凡例を見れば分かります。
そして大事なことがひとつ。ストーリーボードでシーンを並べ替えても、プロットボードは壊れません。プロットはシーンそのものに紐づいているので、並びが変わればバーが流れ直すだけです。構成をいじるたびに表を直す必要はありません。
プロットの表は、ストーリーボード側からも「プロット一覧」として開けます。板を見ながら、裏の筋を横に確かめる。CSV・Excel・Googleスプレッドシートにも書き出せるので、手元の資料にもなります。
カードから、書く場所へ
板は眺めるだけの場所ではありません。カードのメニューから、そのシーンの編集ダイアログ(柱と概要を直す)と、シーンエディタ(本文を書く)にそのまま入れます。
構成を確かめて、気になった場面に入って、書いて、板に戻る。この往復が、同じ画面の中で完結します。
続報をお待ちください
Admicreaは現在開発中です。この記事で紹介した機能は、実際に動いている画面の動画をそのまま使って説明しています。カードを並べ替え、通し読みをし、プロットボードを開く——その一つひとつを、動きのまま確かめてみてください。
最新情報は公式サイトと X(@admicrea)でお知らせします。次回もお楽しみに。
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